肉サイボーグ、それは全国の肉好きのために日々お肉について考え、カットし、最高の商品を届けることのみを追求する者達のことである・・
突然ですが
『食肉販売技術管理士』
っていう肉に関する資格があるの知ってますか?
これは、あるところに1年通って、最後に厳しい審査を通過した者だけが得ることのできる食肉業界の資格です。
お肉博士2級とか1級って言う言葉なら知っている方もいるかもしれませんが、あれの上位版みたいなものです。
持っていると業界の人からは一目置かれる?資格です。
その「あるところ」というのが群馬県は玉村町にある公益社団法人全国食肉学校です。
ここ何かって言うと名前のとおり肉の専門学校です。
肉の専門学校?そんなもんあるの?!
よく聞く反応です。
調理の専門学校は数あれど肉の専門学校は、ここを合わせて全国に2つしかありません。
何を隠そう僕もここの卒業生です。
ほとんどの人は肉に学校があるなんて言うことは、知りませんし考えもしないでしょう。
今回はそんなベールに包まれた肉の専門学校の謎にせまります!
(別にベールにも謎にも包まれていませんが、知らない方が多いのでお話しします)
肉の専門学校って何するところ?
一言で言うと、
お肉のプロを育成する職業訓練校です。
3ヶ月、半年、1年の3つのコースがあり、そのコースの中で肉に関する知識と技術に各人が励みます。
昨今、肉ブームだと言われながらも、専門知識を身につけた人間はごく僅かです。
そんな中で、肉のプロとなるべく全国から色んな人たちが集まる場、それが食肉学校です。
全国から集まる肉の申し子達
もう本当に色んな人が集まります。
僕と同じような肉屋のセガレ、農家の跡取り、既に食肉業界で働いている人達、仕事を早期退職して第2の人生を歩もうとする人などなど。
そんな人たちが全国から集まってきて一堂に会するので色んな方言が飛び交い半ばカオスな学校です。
それでも、全員同じ「お肉の本当のプロになる」という志を掲げて入学してくるわけですが。
全寮制で1年間厳しくも楽しい生活
食肉学校はなんと今時珍しい全寮制です。
3ヶ月、半年、1年という期間をとおして一つ屋根の下で40人くらいの生徒が生活をともにします。
はたから見たら監獄!でも楽しいよ
全寮制でめちゃくちゃ作法に厳しい生活を強いられます。
朝は6時に起床してランニングとラジオ体操に始まり、夜は10時には消灯。
しかも群馬県高崎の玉村町という駅から徒歩1時間以上という好立地にあるので
基本的にどこにも行けません。休日に外出する際は札をだしておかないと物凄い勢いで怒られます。
そんな生活に耐えかねて脱走を試みる人間もいます。
刑務所か!
でも、それを補って余りある楽しさがありました。
やはり同じ志を持った人が集まるので話が合いますし、全員が仲良くなります。
住めば都とはこのことだなと痛感していました。
具体的な学習内容
気になる学習内容ですが、
大まかに言うと
・座学(食肉の知識、原価計算、マーケティング)
・実習(牛、豚、鳥の脱骨から商品化・加工品製造)
・校外学習
・海外研修
このあたりがメインになります。
正直、実技に関してはプロの現場で通用するレベルにまで達することはありませんが、それでも食肉に関するプロとして最低限の知識は頭に叩きこむことになります。
例えば、普通の人と肉のことに対して会話すると
なんだこいつ、気持ち悪いくらい詳しいな
って感じで若干引かれるくらいには詳しくなりますよ。笑
3ヶ月の校外学習からのオーストラリア研修
僕がこの学校で一番技術の習得という面で成果を確認できたのは、校外実習でしょう。
学校から離れて実際の現場で実習を経験するわけですが、まぁ初めてのプロの現場です。
ボロクソになりながら社会の厳しさというものを身にしみて経験するわけです。
もともと、社会人だった人もいますが、やはり現場が違えば勝手が違うのでしょう。
例にもれず、学校に帰ってくる頃にはすっかり消耗しています。
ただ、先に言った通りそれに見合った成長はします。
コアラも抱っこできるよ、オーストリラリア研修
こんな見出しを書いていますが、もちろんちゃんと真面目な研修です。
期間こそ長くはないですが、異国の地の精肉店や加工場の現場、食肉に対する文化に直に触れることができます。
その中でも強烈に印象に残ったのが
コアラを抱っこしたことです。
嘘です。
オーストラリアの食肉加工場で働くプロ達の目の前で、日本の技術として肉の筋引きやカットを披露したことでしょう。
当時の僕は、校外学習を通して3ヶ月ほどだけ経験を積んだに過ぎないヒヨコちゃんです。
そんな人間が海外のプロを前にして技術を披露だなんて、今思うとなんておこがましいことか。
まぁ、それでもやりきったわけですが。おそらくその場にいたプロ達は
「oh〜、ジャパン メチャ レベル ヒクイネー」
なんて思っていたことでしょう。
暖かく笑顔で見守ってくれてはいましたが、なんだか日本の職人さん達に申し訳なかったです。
他にもなんやかんやとありましたが、普通に仕事をしていたら経験できない場であったことは間違いないです。
卒業試験からの「食肉販売技術管理士」
そして記事の最初に言った
食肉販売技術管理士につながります。
卒業試験に技能照査というものがあるんですが、これに合格すると得ることができる資格です。
お肉検定を受験することで得られる「お肉博士」という資格はこの食肉学校も主催の一人であり
これの上位版という印象の資格と言えるかもしれません。(違ったらごめんなさい)
お肉博士のテキストを見せてもらったことがあり、それを見る限り全て学校で網羅している内容だったので、あながち間違いではないとは思いますが。
食肉販売技術管理士って持っていると何が凄いの?
特にありません
え?だって1年も通って得る資格でしょ?
はい、でも特にメリットがあるとかはありません。
なぜなら国家資格とかではなく、あくまで公益社団法人全国食肉学校が発行する資格です。
持っていると、何か特別な職業につける資格とかではないんです。
なんなら「食品衛生管理者」という資格のほうが、食肉加工品(ハムやソーセージ)の製造に携わることができるので、権威性は上です。
「じゃあなんなの?」って話なんですが、お肉の分野において信頼性を表す指標みたいなものかと。
お肉を職業にしているプロって全国にたくさんいますが、本当にお肉のことを正確な知識や数値管理、マーケティングをふまえて理解している人って僕の経験上そんなにいません。
そこで、一つの本当のプロを見分ける指標、それがこの資格だと思っています。
もちろん単純に資格を持っているから凄いとかでは無く、これを持っている上で実際の現場で経験を重ねた人が本当の食肉のプロだという話です。
(その意味では、偉そうに語っている僕もまだまだ、ヒヨッコです)
どんな人が卒業してるの?
この食肉学校、一体どんな人が卒業しているのでしょうか。
学校の公式HPでも紹介されていることなんで書きますが、
関西では「モリタ屋の社長」や「焼肉弘の社長」等の業界内ではかなりのビッグネームが卒業しておられます。
【まとめ】そして世にまた一人の肉サイボーグが送り込まれる
一応僕も食肉学校では年間を通しての学生長を務め農林水産局長賞?(うろ覚え)みたいなものをもらって卒業しました。
この学校を卒業した人間は間違いなく、体の隅々までお肉人間です。
普通の人は肉の専門学校なんて通おうなんて思わないでしょうからね。
それでも、厳しい寮生活を経験し、校外学習でボロクソになり、海外で恥をかいてまでこの学校の門をたたくのは、肉に対する誰にも負けたくないという強い気持ちがあるからです。
同期の面々は間違いなく全員が僕と同じくらい肉に対して真剣に向き合っていました。
「この業界を変えてやる!」
ここまで大きな野望を持った人がいるかどうかは定かではりませんが、
「日本の食肉業界を支える人間を送り出す機関」
それが全国食肉学校です。
今回の記事は以上になります、最後までごらんいただきありがとうございました!
コメント
tkkと申します。食肉学校の記事楽しく拝読致しました。
食肉学校入学を考えている私にとって大変参考になる記事でした。ありがとうございます。
同時にもっと深掘りして詳しく聞いてみたいと思いました!
tkkさん、当ブログをご覧いただきありがとうございます!
学校入学を考えている方に読んでいただけてて本当に嬉しく思います。
食肉学校のエピソードは面白いものがたくさんあるので、また別の機会にアップしようと思います。
(最近はyoutubeの方に力をいれているので、そちらで動画にしてだすかもしれません。。)